
会社や組織のなかで働くのが当たり前だった頃。
私はどこかで、「自分の力が本当に通用するのか試してみたい」と感じていました。
毎月の給料は決まっていて、昇給にも限度がある。
年齢や学歴、性別や経験が“評価”の前提になる世界に、少しずつ違和感が募っていったのです。
そんなときに出会ったのが、フルコミッション制(完全歩合制)の英会話教室営業という仕事でした。
基本給はゼロ。売れなければ収入もゼロ。
けれど、「上限の決まっていない報酬」、「自分の頑張りがそのまま反映される環境」、「年齢や経歴に関係なくチャレンジできる自由さ」。
その“厳しさの中にあるフェアさ”に、私は強く惹かれました。
何より、人生のどこかで「やるなら、今だ」と思ったのです。
自分の力を信じて一歩を踏み出したあの頃の決意は、今もずっと、働き方の軸になっています。
本日は、「フルコミ営業で学んだ、“自分で稼ぐ力”の正体」というテーマでお伝えしていきます。
「売れなければ、ゼロ円」の世界へ
当時、私は30代前半。
英語を学ぶのが好きだったこともあり、「人に学ぶ楽しさを届ける仕事ができたら」と思って選んだのが、完全歩合制の営業職でした。
初めて聞いたとき、「え、それって……給料が出ないってこと?」と驚いたのを覚えています。
基本給ゼロ、成果によって報酬が変わる。つまり、「売れなければ収入はゼロ」。文字どおり、結果がすべての世界です。
最初はもちろん不安でした。でもその分、「本気でやってみよう」と決意も固まりました。
やればやるほど収入につながる。努力と結果がダイレクトに結びつくこの環境は、私にとって初めての“働く意味”との出会いでもありました。
「売ること」は、誰かの人生を応援することだった

営業というと、「売り込む」「数字を追う」というイメージを持たれがちです。
けれど私が経験したのは、むしろ**“夢のそばに立ち会う”仕事**でした。
- 子どもに留学のチャンスを与えたいお母さん
- 退職後に海外旅行を楽しみたいご夫婦
- 転職のためにビジネス英語を学ぶ女性
彼らの話に耳を傾け、願いに共感し、そのうえで「こういう方法もありますよ」と提案する。
それは“売る”のではなく、**「応援する姿勢」**に近かったのです。
この経験を通して私は、「売る力」ではなく
**「聴く力」「信じる力」「届ける力」**が、人の心を動かすことを学びました。
「稼ぐ力」の正体は、姿勢と習慣に宿る
フルコミ営業の現場で、何より大切だったのは「どう在るか」でした。
スキルやセールストークよりも、以下のような日々の姿勢が、結果に直結していたのです。
- 相手に誠実であること
- 必要ない人には無理に勧めないこと
- 続ける力、切り替える力を持つこと
- 一喜一憂せず、自分を信じて動き続けること
つまり、“稼ぐ力”とは、**特別な能力ではなく「積み重ね方の技術」**だと気づいたのです。
この知恵は今、営業の現場を離れても、仕事全般に活かされています。
自分の「価値」を、他人任せにしないという選択

あの経験がくれた最大の学びは、
「自分という存在を、他人の評価軸に預けすぎなくていい」という気づきでした。
もちろん、会社で働くことも尊い選択です。
ただ、自分で働き方を組み立てる経験を一度でもすると、見える世界が変わります。
- 何を届けられる人間か
- どこで、誰の役に立てるのか
- 何を大切にして働きたいのか
そんな問いを日常に持つことで、人生は**「誰かが決めるもの」から、「自分で育てていくもの」**へと変わっていきます。
そしてもう一つ大切だと感じたのは、
「選ばれること」だけに自分の価値を預けすぎない、という視点です。
オーディションのように、誰かに選ばれることばかりを目指していると、自分の軸はすぐに揺らぎます。
でも、「わたしはこれを届けたい」という意志が明確であれば、たとえ最初は届かなくても、やがて必要な人に届いていく。
評価される前に、自分で自分を肯定してあげる力こそ、働き方の根底を支えるものになるのだと思います。
まとめ:共用知としての“稼ぐ力”
本日は、「フルコミ営業で学んだ、“自分で稼ぐ力”の正体」というテーマでお伝えしました。
最後に、今日の共用知(きょうようち)を振り返ります:
- 「売る」ことは、誰かの夢を応援する行為である
- 稼ぐ力は、特別な才能ではなく、日々の姿勢と習慣で育つ
- 働くとは、自分の価値を自分で形づくる営みでもある
経験は、誰かの知恵になりうる。
もし、あなたが働き方に迷っているなら、
一度、自分にこう問いかけてみてください。
「わたしは、何を届けられる人間だろう?」
きっとその問いが、新しい扉をひらくきっかけになります。